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接着剤として膠を使うことがあります。6号機のクラシックギターはすべて膠で接着してみましたが大変でした。すごく難しかった。

膠は動物や魚の皮などを原料としたもので、人間が接着剤として使うようになってから長い歴史があるそうです。精製すればゼラチンになるので食べられます。先日、ネットを徘徊していたら膠を犬に食べさせみたなんていう人もいました。

ギターなどの楽器を作る人で使ったことがない人はいないんじゃないかと思われるフランクリン社のタイトボンドという製品があります。僕も主にそれを使っています。硬化が始まるまで5分ほどの時間的な猶予があるので、大きな部材の接着をするときも緊張せずにクランプできます。作る人に優しい接着剤と言えると思います。

膠は、一般に売られている木工用ボンドと違って、常温で長期保存ができない、湯煎して使うので準備が面倒、生ものなので臭いといった欠点がありますが、上手く扱うと接着力は木工用接着剤よりも強力で接着膜が薄く、熱と水分で溶けてくれるので綺麗に剥がすことができます。また、木が湿度の変化で動いて接着面に力が加わったときに、膠は水を吸う性質が接着部分の割れなどを起こしにくくしてくれます。ギターのような楽器には好都合な接着剤です。こちらは直す人に優しい接着剤と言えるんじゃないでしょうか。

膠を使って接着すれば、ネックを外して修理するときや指板を剥がして修理するときに有利かもしれません。エレキギターなら修理対象になる部分で接着されているところというとそれくらいでしょうか。アコースティックギターなら、それらに加えてブリッジ、裏板などが容易に綺麗に剥がせると修理がやりやすくなるでしょう。

作りっぱなし売りっぱなしでいい製品なら、作る人に優しい=コストがかからない(儲けが出やすい)方法が合理的でしょうが、長く使われる製品なら、手間がかかる分儲けが出にくいものの、直す人に優しい方法の方が合理的だと思います。

使う人(買う人)の立場から見るとどうなんでしょうか。自分の好きな音楽家が使っている楽器が欲しい、外観の美しい楽器が欲しい、良い音がする楽器が欲しい、長く使える楽器が欲しい、安く買える楽器が欲しい(?)。いろいろな選び方があると思います。

自分の好きな音楽家が使う楽器といっても、木製(鉄製でも同じだけど)の楽器は2つとして同じものはないので、外観で選ぶのとあまり変わらないかな(スペックも外観みたいなものかな)。良い音がする楽器というのは難しいですね。何が良い音かがわかるかどうかという問題もあれば、そこに好みが入りますからこれが良い音だと言い切れないところがあります。長く使える楽器はもう少しわかりやすいでしょうか。材料の劣化や部品の摩耗などによっていずれ修理を要求されますから、修理しやすい楽器なら長く使える楽器だと言えると思います。

良い音(好きな音)が出て、修理しやすくて、値段が安いギター。なかなかないでしょうね。日本製のストラトキャスターとか?

僕の場合は大量生産の手法を最初から放棄しています。2つとして同じ楽器は作らない(作れない)。外観はもし好みがあるならそれに近づけるように努力する。なるべく使う人の好みの音に近づけるように努力する。長持ちして修理が楽になるようにする。過剰な装飾をしない。だいたいそんなことを念頭に置きます。すでにそれができているという意味ではありませんが、心がけていこうと思います。

長持ちして修理が楽になるという点だけでも、膠を使う価値があると思っていますので、もっと積極的に膠を使おうと思っているところです。13号機のMartin トリプルオータイプでも、膠を使う箇所を増やそうと思います。ネックの接合部分、ブリッジ、指板、裏板は膠で接着したいです。寒くなると母材を暖めなどして接着力を活かさないといけませんから難しいんですけど、避けて通れないと思っています。

写真は三千本膠をペンチで小さく切って水に浸けているところ。膠をふやかして寒天状にしておけば、湯煎する時間が短縮されて使い易い。ただし常温で長期間の保存をすると接着力が落ちますから作り過ぎてはいけない。湯煎したものはさらに長期保存ができませんから、せいぜい2〜3日以内には使い切るようにします。理想は使う分だけ湯煎することです。300円ほどで5本入りで売っている三千本膠。一袋あるとギター2台〜3台を作れます。鹿膠が接着力が強力で良いという話を聞きましたが、今のところこの三千本膠で問題は起きていません。スチール弦のアコースティックギターでブリッジが飛ばなければ接着力は十分だと思います。

 

2013-11-14 20.04.53

 

物の値段は、ざっくりと製造原価(材料費と製造設備費と製造人件費)+営業利益+ブランド料+流通費+梱包費ですが、分業の形態が複雑化・広域化すると、取引に関わるコストが上乗せされることになります。あまり高いと売れないので、必死で「サプライチェーンの効率化」と呼ぶコストダウンの努力が行なわれることになります。コストダウンと言っても労働を搾取してるだけみたいな無理が多いですが。あるいは、某スターなんとかコーヒーのように美味くないコーヒーを高く売るために、マーケティング戦略という「あまり関心しない行為」を行ない、大差ないもの大したものではないものを「差別化」して売る。いずれにしても人が幸せにならない方向の努力だと思いますが、大量生産大量消費大量廃棄を是とする限り収まりそうにありません。

住宅なんかひどい状況ですよね。製造原価と営業利益だけなら住宅価格は2/3くらいになるはず。大工さんが建てる家がだいたいそんな値段ですね。これは様々な規制を減らしていけばさらに安くなるでしょう。税金、登録費用、申請費用、検査費用、保険費用など様々な方法で吸い上げられてるわけだから。

生産・消費・再生を一体化するのが理想で、再生できないものは生産しないとすれば、循環型の経済活動が実現すると思います。まあ、でもいきなりは無理ですね。多くの場合、生産と消費の間に非生産労働による収奪が行なわれていますから、消費する人が生産するようになると収奪から逃れられます。それが無理なら生産者から直接買って消費すれば良い。自家生産、生産者からの直接購入。その比率をじわじわ増やしていったらいいですね。

kazz12211 について

Working as a OO programmer and enjoying music, bicycle and photography.

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