弦を張って最終調整です。弾きやすくするためにナットとサドルを削ってなるべく弦高を下げます。削り過ぎになると困るので、少し削っては弦を張って確認するという作業の繰り返しです。使用する弦はMartinの最も細いもの。
電池を入れてピックアップの動作を確認。問題なし!
このピックアップシステムはピエゾとマイクをミックスできる仕組みになっていますが、ピエゾだけでも、マイクだけでも好ましい音質です。
兄貴分との比較。だいぶ小さいModel Rです。Martin OOOよりも小さいです。
調整を終えて2時間ほど弾いてみました。
当初は短い弦長、小さなボディ、細い弦という組み合わせで音質と音量がどうなるか不安でしたが、その不安は杞憂に終わりました。大きな兄貴分と比べると音量が小さく迫力はありませんが、軽やかでキラキラした音が出ます。
一部のトラベルギターやミニギターなどを除けば、多くの市販のアコースティックギターの弦長は635mmや650mmのようです。どちらもMartinのギターが基準になっているんでしょうか。
今回は手の小さな人がコードを押さえやすいように、思い切ってネックを細くし、弦の張りを弱くするべく弦長を短くして細い弦を張ることを想定して製作しました。
まだボディの側面と裏面の磨きが半端ですので、しばらく塗装の硬化を待って磨きなおしますが、これで一応の完成とします。
下の写真は納品用のセミハードケース。HOSCO社のMartin OOOタイプ用です。このケースはOOOがピタリと収まるケースですが、このギターのボディの大きさがよくわかると思います。
最後にこのギターの仕様と製作に当たって考慮した点を書いておきます。
仕様
- ボディ材は表板がシトカスプルース、側板と裏板はインドローズウッド
- ネック材はホンジュラスマホガニーでヘッドはスカーフジョイント、ヘッド角度は14度
- 指板はインドローズウッドで弦長は620mm
- ナット幅42mm、サドルの位置で弦の間隔は11mm。
- ブリッジはインドローズウッド
- ナットとサドルは牛骨
- ペグはGOTOH製のグローバータイプ
- 弦はMartinのExtra Lightゲージ(1弦が0.010から始まるセット)
製作にあたって考慮した点
- 小柄な体格に合わせて、ボディは小さく薄く、ネックは細く短くしました。
- コード弾きが多いということでしたので、ネックの形状はカマボコ型よりも若干尖った形状にしてコードを押さえやすくしました。
- 表板の板厚は若干薄めにし塗装も薄くする。
- 指板とブリッジが柔らかめの材質だったのでブレーシングを高くして高音を出す設定にし、面積の狭い表板の振動を邪魔しないように細くする。
- 表板が接着されるライニングも1mmほど幅を狭くして表板の面積を少し稼いでいます。
- 重量バランスを整えるためにヘッドを薄くネックを軽く。
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