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#01 YAMAHA RGXA2をフレットレスギターに改造する

工房開設に伴いブログはこちらに引っ越しました。

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なかなか取れなかった夏休み。やっと10月後半に取れました。当初はシングルスピードのPinarelloで伊勢神宮経由で京都まで走ろうと思って、体力作りをしていたんですが、朝5時半に起きて、家庭菜園、早めに出勤、自然科学や憲法・歴史の勉強、出社、20時頃に帰宅という生活なので、なかなか自転車に乗って走り込む時間が作れませんでした。シングルスピードで30時間ほどで450km+100kmというツーリングにはかなりの体力が必要ですから、中途半端な鍛え方ではリタイヤは必至。疲労と眠気で事故でも起こしてしまったら大変。多少の無理をするのはいつものことですが、無茶をするのはイヤですので、今回はきっぱりと諦めて他のことをやろうと思い考えついたのがフレットレスギター作り。
作るというよりは改造ですけど。

そのために中古で入手したギター。YAMAHAのRGXA2というモデルです。
裏にはけっこう塗装が欠けてるところがあったりしますが、表を見ると新品のような綺麗なギターでした。

YAMAHAのホームページにはエアーギターに触発されて開発されたなんて書いてありますが、このギターは特殊な作り方がされていてとても軽いです。普通のFender Stratocasterなんかだと3.6kgぐらいあるのかな?このギターは2.5kgしかない。フルスケールのエレキギターの中では最軽量の部類ではないでしょうか?

家に帰って早速音を出してみましたが、ピックアップがハムバッカーの割には音は軽くて伸びない感じがします。PRSやLes Paulなんかだと、高音弦を12フレット辺りで押さえて軽く弾くと「ピーーーーーーン」くらい伸びるところが「ピーーーン」くらい。ちょっとだけ伸びない感じです。

夏の間は仕事を休めなくて、10月26日からちょっと遅い夏休みが取れたので、このギターをフレットレスギターに改造することにしました。

ちょっと弾いて元の音を確認したら、加工をするためにさっそくネックを外します。加工中も加工後も調整のために音を出してみるので、弦は捨てないでとっておきます。
これは100円ショップで買って来たニッパー。食切とかエンドニッパーと呼ばれる工具です。このままでは使えないので、鉄工ヤスリで先端の部分を削って歯を薄くします。これ次の写真のように使います。
フレットの端っこ辺りで、フレットの根っこに食い込ませるようにして、ギュッと握って少し力を入れてフレットを引っ張ります。写真は実際に作業する前のもので、作業するときは指板に凹みや傷がつかないようにマスキングテープで養生しました。あまり力を入れてエイヤッと引き抜くと、指板の木が一緒にめくれてしまうので、慎重にフレットを持ち上げます。少しフレットが持ち上がったら、ニッパーを少しづつ横にずらしてギュッとやるとフレットがどんどん浮いてくるので、フレットの反対の端までそれを繰り返してフレットを抜きます。

フレットを全部抜くのに、だいたい10分くらいかかりました。
慣れると5分くらかな。

この作業はギターのフレットを交換するときにも必要な作業なので、いい練習になりました。

フレットを全部抜いた指板。ちょっと指板の木がめくれてます。
ネットで調べてみると、フレットを抜く前にレモンオイルなどでフレットにほんの少し湿気を持たせるなどして、木がめくれないように気を使う人もいるみたいです。次はそうしてみようと思います。フレットを抜いた溝は、カッターで救って綺麗にしました。後になって気づいたんですが、フレットの溝に木工用のパテを詰めて塞いたときに、ささくれたような指板の木が汚いです。そうならないために、フレットの溝に紙とか薄いプラスチックを立てて、指板をヤスリ掛けしたときに出た木の粉を木工ボンドか何かに混ぜて、ささくれたところに埋めれば良かった。
続いてナットを外します。ナットは交換することがある部品なので接着剤でちょっとくっついているだけです。
木の切れ端を当てて、指板側からプラスチックハンマーで軽くトントン。ネックの右から左から同じようにトントンすると外れます。
フレットレスにした場合は、フレットがある場合よりも弦高を下げるようです。
ナットの溝を削ろうかなと思いましたが、極細のヤスリ(できればナットの溝切り用の専用ヤスリ)を持っていないので、ナットの底を削って弦高を下げます。
実際に指板を加工してから現物合わせで弦高を調整するので、ここではほんの少しだけ削りました。だいたい1mmぐらい。
フレットの溝に埋めるのはこの木工用のパテ。
弦を張ったときに指板の強度が下がるといけないと思って、エポキシ系のパテを選びました。
粘土みたいなやつで、必要なだけ切ってコネコネして使います。
これをフレットの溝にグイグイ詰めて固まるのを待ちます。30分くらい待ったでしょうか。
指板に盛るのはこのエポキシ樹脂。
乾くと透明になってすごく硬いという説明書きがあったので選びました。これは失敗だったかな。
固まるまでに結構時間がかかります。何もかもが初めての体験なので、右も左もわからないです。
でも、失敗したら、また指板を削ってやり直せばいいかなと、軽い気持ちで作業を進めます。パテでフレットの溝を埋めて、家にあった木材を切り出して作った当て板に紙ヤスリをつけて、パテの出っ張りがなくなるまで、ひたすら指板を削ります。とにかく真っ平にする。
上に盛るエポキシ樹脂が透明なので、指板が汚いとみすぼらしくなると思ったので、#120の紙ヤスリでパテの出っ張りを取った後は、#400の紙ヤスリで表面慣らして、#800の紙ヤスリで水研ぎしました。このエポキシ樹脂はドロっとした2種類の液を1:2の割合で混ぜて使います。
この割合がいい加減だと硬化しないというので、なるべく正確に計るために電子秤を買いました。0.5gまで計れるタイプです。それでピッタリ1:2になるように液を計って混ぜました。
ネックの指板以外の部分をマスキングテープで隠して、ゆっくりゆっくりエポキシを盛ります。結構粘度が低いので、盛るというよりは垂らす感じ。案の定、ネックの横からタラタラと垂れました。もう少し粘度の高いものだといいですが、どんな製品があるのか、何がいいのかを知らないので仕方ないです。いろいろ試してみないとわかりませんね。で、これがなかなか硬化しない。

うっかり指で触れてエポキシを取ってしまったり、気をつけていたにも関わらず、髪の毛や埃がついたり。
仕上がりに影響するのは明白ですが、エポキシが硬化したら削って磨くので、なんとかなるかなと、軽い気持ちで先に進みます。

エポキシ樹脂がヤスリを掛けられるくらいに硬化するのに丸2日かかりました。
せっかちな性格なので、待っていられずに触ってしまいそうになりましたが、サイレントギターの配線が切れていたのを半田付けして直したり、最近、めっきり弾いていないギターを弾いたりして間を持たせました。

エポキシ樹脂が硬化したら、紙ヤスリで削ってコンパウンドで磨きます。
ヤスリは#240から初めて#800まで。コンパウンドは細かいのと鏡面仕上げ用の2種類。指板が波打たないように、紙ヤスリには当て木をして弦の方向に動かします。あんまりグイグイやると凸凹になりそうだったので、根気よく弱めの力で指板の上を行ったり来たりさせました。
ナットの底面がネックにピッタリくっつくように、ナットの溝をヤスリで平らに慣らしました。
研磨した指板。残念ながら、気泡が研磨しても取れません。
エポキシをもう一度盛り直そうかと思いましたが、硬化するまで待てないので諦めました。
パテを埋めたナットの溝もささくれた指板の木のおかげであまり綺麗ではありません。
いかにも素人仕事って感じですな。ナットの底の2箇所にちょっとだけ瞬間接着剤を付けてネックにはめて、ネックをギターに取り付けて、弦を張って完成!と、思いきや・・・ナットを低くし過ぎて、高音弦が指板に当たってました。弦を張ったまま、当たり具合を確かめながら、指板のエポキシ層を再び削って、音が出るようになったところで、再びネックを外して、研磨のやり直し。
弦高は、低いポジションを押さえたときに、弦が指板に触れるか触れないかという低さまで追い込みました。
フレットレスベースなどで、ブワーンというかビヨーンというか、弦が指板にちょっと触れて微妙な音がしますが、あの感じを狙ってみました。
気に入らなかったら、またエポキシ層を少し削ればいいかと気楽に進む。ネックの汚れを取って、ネックをボディーに装着。遂に完成です!
YAMAHA RGXA2 Fretless

フレットレスに見えますよね?


早速、アンプにつないで弾いてみます。

ペペンペンペン!

細い弦にサスティーンがまったくありません。
ハイポジションもダメ。
弦の振動が弱いから当たり前ですね。
予想通りの音なんですけど、弾かないともったいないので、もう少し弾ける状態にしたいです。
ローポジションなら、なんとか音楽になりそうですけどね。

弦の振動がもう少し強くなれば多少はマシかなと思って、元々ついていた1弦が009のセットから2番手太い011のセットの弦に張り替えて弾いてみました。

ペペンペンペン!

あんまり変わらないです。
ローポジションなら、なんとか音楽になりそうですけどね。

早速、覚えている曲を何曲か弾いてみましたが、すごーーーーーーく難しいです。
カラオケで自分が歌った下手な歌と同じようなレベル。
とても他人様にお聴かせできるレベルではありません。
せっかく作ったフレットレスですもん。もったいないから、練習して弾けるようになろうと思います。

フレットレスギターをこんなに見事に演奏する人もいます。これくらいの音は出したいなって思います。

Tim Donahueさんの演奏。

これはFernandesのサスティナーを内蔵したギターですね。
サスティナー付きの中古ギターをオークションで落札して流用しようかな。

インターネットがあるおかげで、いろいろな人のギターの改造や製作のやり方を知る事ができます。
そういったみなさんの経験を覗かせてもらってやりました。みなさんに感謝です。

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